スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    野菜 再構築

    アシベ君、顔色悪いけど大丈夫?。洋ナシ型のトマトは yellow pearの図。

    yellow pear 0518


    市場への野菜の入荷量が減っているそうだ。野菜ブームに載せられて、ネットを介した産直や直売が相当な伸びを見せていることからだという。

    それらの販売形態で耳目を集める言葉に減農薬・無農薬、有機といったキーワードがある。実際に、これらの「言葉」を売りにする農家・企業というのは相当数ある。某大手の野菜配達業者は他を貶めるような物言いで安全性を売りものにして憚らない。

    恥ずべきことと思う。
    多少なりと栽培の良識のあるものならば、「無農薬だから安全」とか、「有機だから美味しい」といったことは言えないはずである。

    一昨年のこと。英国でオーガニックパニックと後に名付けられた騒動が起き、議論を呼んだ。英国食品基準庁が有機栽培の農産物と慣行栽培の農産物との間には、健康影響や栄養価の差異は認められないと発表したことからによるものである。この騒動は英国のみならずヨーロッパ各国へと飛び火して世を沸かせた。

    栽培に携わるものとしては、「そりゃそうだ」としか言いようがない程有り触れた認識なのだが、購入する側の人と科学的根拠の間にはかなりの隔絶がある。

    といっても、この動向はよくある話で、一旦は盛り上がるものの、じきに鎮静化してしまうのだ。以前にも似たような公式見解は何度も出ている。農家としてはあぁ、またかといったところなのである。実際のところ、みんなそんなに興味がないのだと思う。

    規定値内の残留農薬が「人体へのリスクとなりうるか」を論点とすればそのリスクは皆無である。この見解は無論日本でも精査を受けて発表されている。農産物を商う者は、そのことを踏まえれば、「どちらがより安全」などと、勝手な優劣を付ける立場にはない。慣行栽培により作られたもの、減農薬・無農薬のもの、いづれも等しく安全なものである。それ以上を、以下を設けることは私達の仕事の範疇ではない。そもそも不安を煽り、そこにつけ込んでものを売る倫理がまかり通っていいはずがない。

    また、農家であれば肥料が有機か無機かといった「質」が良味に影響を与えるのではないということは誰もが知るところのはずである。

    肥料をあまり必要としないサツマイモを「有機質肥料たっぷり」で育てて美味しいと主張できる農家はよもやいまい。
    真夏に収穫された有機栽培のホウレンソウと、ロゼット状になるまで葉を広げた冬の寒締めホウレンソウとの比較を肥料の質をもって論じることが出来ようか。ブルームレスとブルームキュウリとの違いを有機であれば覆せるだろうか。

    美味しさを形作る要素は一筋縄ではないのだ。何となく耳触りのいい一語で伏される程、野菜作りを薄い仕事とは思わない。

    だが、そういった栽培技術を販売に際して滔々と語るのはいささか野暮なことと思う。知らない人を煙に巻くだけなんだから。製品の工程より結果を話した方が親切。

    結局のところ、

    青果の購入に際しては、あなたの嗜好とその野菜の鮮度・食味、価格といったごく当然の比較肢から勘案して野菜を選ばれるのが健全と思う。還るべきところは、その「価格に対する品質」といったシンプルな話でいいと思うのだが、如何だろうか。環境への負荷を意識した栽培方法は、現代に農業営む私たちに課せられた責務である。だが、それは声を荒げることなく粛々と行われるべき当然のこと。

    農産物の魅力を安全や環境負荷で語るのは筋違いなのよ。


    名脇役。矢車草。こぼれ種で増えて、栽培している花畑ならず、季聞屋のあちこちの畑で顔をのぞかせる。滋味な風情で好き。なんか気分が落ち着く。

    0530矢車草 

    コメント

    コメントの投稿

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。