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    Non-sense


    『ここの野菜、何回農薬使ってるの?』

    たまにそう聞く人が現れる。その類の人の大抵はピッカピカの野菜に一瞥を与えるでもなく、まず、つかつかと近寄って聞いてくる。野菜ありき、ではなく、初めに農薬うんぬんなのだろう。

    直売を始めて間もない頃はまともにそーゆー人にも対応していた。今思えばつくづく無駄なことをしていたと思う。その質問をされた方に、ご希望通りの「農薬の使用回数は~回」という答えを申し上げても、それは結局のところ、全く意味をなさないものだから。


    なら、逆に聞いてみようか。何回までならイイですか?1回や2回なら良くて、3回ならアウト?5回越えたら論外?一体どういった線引きなんでしょう?

    有機リンを一度散布するのと、BTとIGRを一度づつの計2回とだったらどちらがいいですか。どちらも「農薬」です。私は後者を選びます。

    テントウ虫も捕まえてきて畑に害虫防除として放てば、それは立派な『農薬』になります。

    未だにアブラムシの防除に『石鹸』を薄めて散布するという無農薬野菜大好き(はぁと)な人がいますが、石鹸に含まれているオレイン酸ナトリウムは、野菜に使用するに当たっては、思いっきり『農薬』に該当する成分です。オレート液剤という立派な農薬がございます。あと牛乳かける人とかね。かけた後で牛乳が腐ってすんごい匂い放ってるけど。脂肪分で気門を塞いで窒息死させるという効果なら、同じ効果の脂肪酸グリセリドを使えばいいのに。

    汎用的な殺虫剤、例えば蚊取り線香等の元である「ピレスロイド」は植物の「除虫菊」から抽出されるもので、その除虫菊を用いて防除に当たることを有機JASは認めていますが(雑に言うとムノーヤクの範疇になる)、そのピレスロドを科学的に合成して作りだしたものを使用した場合は「農薬」の使用としてカウントされます。両者を用いた防除効果には相違はありません。農薬って植物等の天然成分を元にして作られることが多いんですよ。さて、どう思いますか。

    ちなみに、私は元よりピレスロイドの使用自体を避けています。ピレスロイドは非選択的な殺虫作用があり、栽培環境への負担の大きいものなので。畑にいる虫の全てが害虫と言うわけではないのです。害虫を捕食してくれる天敵にまで効果の及ぶ、広域的な効果を示す農薬の使用は、それがトータルで考えて本当にメリットとなるか慎重に構え、極力慎むべきでしょう。

    有機JASで認可された除虫菊を用いて防除にあたり、『無農薬』という表示を得るよりも、選択制の高い農薬を用い、害虫の天敵となる益虫を保護しつつ防除にあたることは大きな意味があることなのです。それがたとえ化学合成の農薬であったとしても。

    でも、『農薬何回使った?』と尋ねる人にとっては、その『無農薬』は大変意味のあることなのでしょうね。

    先に植物に含まれる防除物質として除虫菊におけるピレスロイドをあげましたが、こんなことは枚挙にいとまがありません。

    よく知られた所では、ジャガイモの芽に含まれるソラニンや、タバコに含まれるニコチンや珈琲や茶に含まれるカフェインでしょうか。その外でも、アブラナ科にはカラシ油配糖体が、ウリ科にはククルビタシン、ナス科にはトマチンやナスニン、豆類にはレクチン等といった植物毒をそれぞれの野菜が含んでいます。LD50値で言えばそれは農薬の中でも『劇物』に相当する値ですね。というか、何の毒もない植物なんて存在しえません。

    過去のエントリでも触れたのですが、植物は人や動物・昆虫などに食べられるために、ご都合よろしく存在してるわけではありません。むしろ食べられたらあかんのです。そんな訳で、身動きの取れない植物は先に挙げたようなアレルゲン(天然の殺虫成分的なもの)を作り出すことで対応してきました。
     
    野菜等の植物を育てたことの経験のある方はよくお分かりでしょうが、植物に虫はつきものです。でも不思議に思ったことはありませんか?『害虫』と一括りにすれば、その数は日本国内だけでも優に1000種を超えて存在するのに、ある一つの種の野菜に付く虫がごくごく限られたものだけであることを。

    それは、その野菜の含むアレルゲンに抗体をもった虫のみが寄生するからなんですよ。

    じゃぁ、野菜は体に悪いのか!?なんてことは考えないで下さいね。その辺りが『安心』と『安全』とを別で分けて考える所です。体重5gの虫(←すんごく大きい部類)と㎏単位の哺乳類とを比較してみましょうよという話。植物の含む植物毒とその野菜に含まれる栄養素とを計りにかけたら遥かに重心がメリットの側に傾くんです。 加えて、人は植物を口に沿うようにと「調理」をします。火をくわえたり、水にさらしたりと、当たり前にね。そしてそれは「おいしさ」にもつながっています。

    でも、一日にキャベツを数十個とか、ホウレンソウを数十キロとかいう単位で摂取すると、それはかなーりの負担になります。まぁ、普通に考えて無理ですね。 同量ならお酒や塩の方が手軽に死ねます。


    あ、余談ですが虫穴の開いた野菜は、綺麗な野菜より安全という神話がありますが、あれは数字的にうそ。危害を加えられた植物は先に挙げた防除物質を強く働かせて自分を保護しようとします。アレルゲンもバンバン出します。数字的には穴あき野菜の方が体には負担。でも、その負担の程度が人間に支障をきたすかというと、それはNO。程度の問題ね。現行で規制されている 残留農薬の値ってそんなもんなんです。


    と、なんだかツラツラ書いてしまったけれど、元来こんなことを説明するのは、私の仕事ではないんですよ。病害虫のリスクマネジメントの都合、知るための努力をするのは、仕事の範疇だけど、安全うんぬんまで説明してよい立場にはないんです。そもそも胡散臭いでしょう。モノを売る立場の人がへたに数字引っ張り出してきたりしても。それは中立の立場で数字を読み解けるリスク分析を生業とする人がすることだ。

    私の仕事はおいしい野菜を作ること、そしてそれを野菜が好きな、近所の方に売ること(けして不特定多数の誰か、ではない)。奥深きこの一点にのみあります。

    じゃあ、このエントリって一体なんなのって?

    それは本タイトルの通り 笑

    だもんで、当ブログをご覧になられているコアな(?)皆様におかれましては、さらっと読み流していただけますよう。

    野菜の「安全」なんてあったりまえのこと。そこに、「より」安全だとかいう比較を用いて説明を申し上げることは農家の範疇を超えた不相応なこと。安全という言葉に、以上も、以下も設けてはならんのです。これは農家といわず、食い物を商う人全般の話だと思うけど。クイモノを売る人は中立の立場とはいえないもの。自分の立場をわきまえない、恥ずかしい人たちが多すぎる。青果商と飲食店関係者もだけど。あーやだやだ。


    ポロネギ収穫はじめ。

    ポロ 1125 

    安全を叫んで野菜を売るより、おいしいですよって笑える農家の方が100倍素敵。



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