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    二兎を追うもの。愛はネギの如く深く。

     
    母の出身は三重の鈴鹿である。彼女の育った地域のネギは関東で好まれる白い部分が長い、所謂一本ネギではなく、葉を主に食べ、白い部分の少ない「葉ネギ」だったそうである。日本を東と西に分けると雑に言って西では葉ネギの系統が好まれるらしい。  (下の写真は某カタログに記載されていた葉ネギ)
     
    某カタログの葉ネギ













    一方の父はここ、美しが丘西(というか昔は元石川町って呼び名だったよね)の生まれ。一本ネギが主流の地域である。

    そんな二人のマリアージュ、ネギ異文化衝突は避けられなかった。

    母は関東の一本ネギを嫌った。一本ネギの系統は葉が硬く、通常は切って捨てられる。ネギの葉っぱをこよなく愛して育った彼女には納得がいかなかったらしい。

    彼女は不服を申し立てた。ネギか、私か、一体あなたはどちらをとるのか。

    結婚当時いくらか愛のあった父は、母のためにと葉ネギ系統にあたる九条種の種を播き、育てた。むろん、母は喜んだ。

    ・・・・が、円満解決とはゆかない。売れないのだ。ここは関東、一本ネギの地域である。「食べる所(白い部分)がないじゃないの!」との非難は轟々。



    ところで、ネギのあの白い部分は、葉柄と呼ばれる部位までを土で覆い、光を遮ることで上へ上へと伸びる生理をもとにしている。土で覆うことを「土寄せ」とか「軟白処理」なんて言い方をする。一本ネギの系統は数度にわたり、その「土寄せ」を行うことにより長く伸ばすのだ。

    一方、葉ネギの系統は、一本ネギとは異なり軟白処理を行わない、あるいは行ったとしても極軽度のことであるのだが、愛妻と売れないネギとの間に挟まれた父は葉ネギの九条種に土寄せを行い、一本ネギ風に仕立てることにした。

    九条 12・11  九条ネギ

    以上が季聞屋のネギの原点である。

    葉ネギを一本ネギに仕立てるにはかなりの無理がある。軟白に向かないから葉ネギなのだ。その無理を押し通すのが技術と努力だが、お客さまにとっては瑣末なことなのでここでは割愛することとする。一言だけ言わせてもらうなら、「非常にメンドクサイ」仕事をしている方だと思う。
    20時スタート 


    季聞屋の場合、ネギの土寄せは夜が更けてから行うことが多い。時間がかかる仕事なので、日のあるうちにしていると、なかなか進まぬ仕事具合に対し日が暮れる方が早く、急がねばという思いに駆られ、ついつい頑張り過ぎて腰を傷めるからである。

    往々にして夜中に畑をうろつく季聞屋であるが、夜中のネギの作業に関しては、ぽつりと暗闇の中に一人作業をしていても、さほど寂漠とした思いに駆られることはない。母と売れないネギとの間に挟まれた、若き日の父の姿を時々思い出し、一人ニヤニヤしながら、夜中寒風すさぶ中、せっせと仕事に励むのである。

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